第5回 Gateway to Science
プラスチックに電気が通った日
ノーベル賞の発見はいかにして生まれたのか

オンラインで開催2022年

【レクチャー】
2000年ノーベル化学賞受賞
白川 英樹(東工大卒 筑波大名誉教授)

 電気を通さないと考えられていたプラスチックに、導電性を持たせることに成功し、 ノーベル賞を受賞された白川先生が、簡単な実験を通し、発見に至る経緯や、 学問や自然への姿勢、私たちへのメッセージをお話しくださいました。

 1月22日に第5回「中高生のための東工大公開講座Gateway to Science プラスチックに電気が通った日」を開催しました。 講師は、2000年に「導電性高分子の発見と発展」でノーベル化学賞を受賞した、本学卒業生でもある筑波大学名誉教授の白川英樹先生です。 昨年に続き新型コロナウィルスの影響のため、オンラインの講座となりました。 当日、白川先生はリモートで講義し、大岡山キャンパスのレクチャーシアターでは白川先生の指導により実験をし、講義と実験の映像を同時に配信しました。 あらかじめ送られた導電性高分子のポリピロールのフィルムと実験キット「トオル君」を使い、参加者は家で実験をすることができました。
 講座は工学院 機械系の齊藤卓志准教授の司会のもとに始まりました。益一哉学長があいさつをし、この講座の意義と理工科系大学としての東工大が社会に対して果たす役割について話しました。 また、学生時代の白川先生との共同実験について懐かしい話として触れました。
 白川先生の講演は、ノーベル賞の対象になった導電性高分子としてのポリアセチレンの発見の経緯に触れるとともに、その背景にある化学研究について解説しました。 その実験としては、導電性高分子のポリピロールをレクチャーシアターの化学実験設備を使って実際に作成しました。実験材料の紹介から始まり、溶媒中への材料の溶解、基材となるフィルム上への塗布工程を経て、 最終的にポリピロールの薄膜が合成されるまでを実演し、各工程を白川先生が解説しました。得られたポリピロールにトオル君を用いて電気が通ることが確認できた時、オンライン参加者からも驚きと喜びの書き込みがたくさん寄せられました。 追加の実験として水の通電実験を行った後、参加者が家庭で行った通電実験を披露しました。2人の学生が観葉植物やマーカーインクを対象としたトオル君による実験を紹介し、そのユニークさに白川先生も感心していました。 次に齊藤准教授の司会により、それまで寄せられていた質問に白川先生が答えるコーナーが設けられました。回答を通して、白川先生が科学研究に興味を持ったきっかけや、研究に対して真摯な姿勢で向き合う先生の言葉に、中高生も熱心に聞き入っていました。
 最後に白川先生があいさつをし、その中で改めて科学の大切さと研究者になることの素晴らしさを自身の経験を踏まえて伝えました。 今回の講演会は、中高生を中心とした小学生から社会人までの幅広い年齢層、また参加者の居住地が北海道から沖縄に及び、総勢900人以上が参加した全国規模の講座となりました。

詳しい講演内容は次のURLをご覧ください。

 https://youtu.be/6_x0sm6LwgQ

日時:2022年1月22日(土)15:00-17:00
場所:東京工業大学 レクチャーシアター(西講義棟1 W531)

第4回 Gateway to Science
細胞の不思議発見
オートファジー

オンラインで開催2021年

【レクチャー】
大隅良典(東京工業大学栄誉教授)
- 小さな酵母から始まったオートファジーの世界
久万亜紀子(大阪大学特任准教授)
- オートファジーの役割:病気にも深く関わる生命現象
中戸川仁(東京工業大学准教授)
- 大隅研究室ツアーとオートファジーの顕微鏡観察

 今年度は2016年にオートファジーの発見でノーベル生理学・医学賞を受賞された本学栄誉教授の大隅先生を中心に、先生の研究仲間である中戸川先生、久万先生を交えて、オートファジー研究の基礎から応用、そして研究者の考え方をお話しいただきました。

 本学准教授の齊藤先生の司会のもと、本学理事・副学長の水本哲弥先生より挨拶があり、この講演会の意義と東工大の役割について紹介がありました。ついで中戸川先生の司会により、大隅先生と久万先生が紹介されました。
 大隅先生はどのようにオートファジー研究が始まったのか、研究のきっかけを紹介するともに、君たちに期待すること、として科学的なものの考え方を学ぶことの重要性を伝えました。つぎに久万先生はオートファジー研究が酵母から哺乳類へと重要な生命システムとして発展し、ヒトの病気の理解にも寄与していることを最新の細胞学的データに基づいて紹介しました。
 そして中戸川先生は大隅研ツアーを行い、大隅研究室の実験室、設備、機器について紹介しました。つぎに武田英吾研究員と一緒に顕微鏡を実際に操作し、酵母がオートファジーを起こしている様子を視聴者に紹介しました。
 最後に寄せられた質問への答えを通して、講師の先生方のオートファジー研究に対する熱い思いと、研究者としての将来にかける意気込みが、多くの視聴者に伝わったと思います。最後に大隅先生がこれからは科学と人間のことを考えたいとコメントされたのが印象的でした。北海道から沖縄まで全国550人以上が視聴し、中高生が大半ですが、1割は小学生でした。

詳しい講演内容は次のURLをご覧ください。

 https://youtu.be/EieG-A3hXHM

日時:2021年1月23日(土)14:00-16:00
場所:東京工業大学 レクチャーシアター(西講義棟1 W531)

     

Gateway to Science

 東京工業大学国際フロンティア理工学教育プログラムでは、アウトリーチ活動として、そして、本プログラムが各学院と協力して学内で推進する「科学・技術の最前線」の目的としてる「バックキャスト(目標到達型教育)」を広く対象を拡大し、中・高校生に向けて展開することにより、将来、科学者を目指す子供達が一人でも多く志を持つような場となることを願って実施しております。

第3回「宇宙で生命を探す」

日時:2020年1月25日(土)
   午前10:00-12:00 / 午後14:00-16:00
場所:東京工業大学 レクチャーシアター(西講義棟1 W531)
対象:高校生・中学生・小学生高学年及び保護者の方
参加:370名

【レクチャー】
玄田英典(東京工業大学地球生命研究所准教授)
 - 概要説明&コーデイネーター
臼井寛裕(JAXA 教授)
 - これまでの火星探査、そしてこれから
関根康人(東京工業大学地球生命研究所教授)
 - もう一つの大きな可能性、氷衛星

【当日の様子】
 地球外生命は今、宇宙学でも最もホットな分野であり、生命がいる可能性の高い、火星と、土星や木星の衛星である氷衛星について、どちらに最初の生命が発見されるのか、両者がバトルをするスタイルで玄田先生がモデレータとなり、臼井先生が火星を、関根先生が氷衛星を、地球外生命を探すための次の宇宙探査に推奨する講演が行われた。講演後、質問の時間を長くとり、学生たちに宇宙研究の面白さ、研究者になった切掛けなどを話し、最後に、20年後の宇宙研究を引き継いでくれる研究者になってくれるように、熱心に語りかけていた。

第2回「機械と人の脳:AIの先にあるものは」

日時:2019年1月26日(土)
   午前10:00-12:00 / 午後14:00-16:00
場所:東京工業大学 レクチャーシアター(西講義棟1 W531)
対象:高校生・中学生・小学生高学年及び保護者の方
参加:241名

【レクチャー】
赤間啓之(東京工業大学リベラルアーツ教育院准教授)
 - 脳の中の辞書を引く
葭田貴子(東京工業大学工学院准教授)
 - 人の脳は世界をどのようにみているか
田中正行(産業技術総合研究所人工知能研究センター主任研究員)
 - 走査電子顕微鏡による骨の構造観察(骨粗しょう症)
河合祐司(大阪大学工学研究科助教)
 - 脳をつくって脳と身体のメカニズムに迫る

【当日の様子】
 4人の先生達が4つのテーマに分け、視覚と脳の働きを中心に、脳科学から人を模したロボットまで、実験を交えた授業を行いました。
 偏光メガネを用いた3D映像や、そのメカのズムの実証実験などもあり、本格的な内容でしたが、小学生から大人まで熱心に見聞きし、非常に有意義な時間となりました。
 今年度は、特にツイッターによる受講者の感想をスクリーンに映し、講演に対する意見が講演と同時進行で画面に現れ、参加者と講演者との距離が近い、いきいきとした授業となりました。
 授業終了後も、参加者達が列をなし、30分以上も講演者に質問をしていた様子が印象的であった。
 普段触れることのないトップレベルの研究者の最先端の授業を聞いたことで、 中・高生にとっては将来の夢や憧れを持つきっかけとなったのではないでしょうか。
 東京工業大学国際フロンティア理工学教育プログラムは、今後もこうしたバックキャスティング型活動を通じて、未来の科学者や技術者の育成に繋がる社会貢献を続けて参ります。

第1回「宇宙を愛する君たちに」

日時:2018年1月20日(土)
   午前10:00-12:00 / 午後14:00-16:00
場所:東京工業大学 レクチャーシアター(西5号館 W531)
対象:高校生・中学生・小学生高学年及び保護者の方
参加:226名

【レクチャー】
工藤 明(東京工業大学特命教授)
- 国際宇宙ステーションにおけるメダカの骨実験
谷垣文章(JAXA主任研究開発員)
- 国際宇宙ステーションの利用とその先へ

【実験と解説】
高野吉郎(東京医科歯科大学名誉教授)
 - 走査電子顕微鏡による骨の構造観察(骨粗しょう症)
茶谷昌宏(昭和大学助教)
 - 蛍光顕微鏡の世界(メダカ蛍光トランスジェニック)

    

【当日の様子】
 第1回は「宇宙を愛する君たちに」と題し、宇宙メダカやJAXAの活動について実験を交えた講演を行い、午前・午後合わせて226名が参加した。 蛍光顕微鏡や走査電子顕微鏡を用いた実験もあり、本格的な内容でしたが、小学生から大人まで 熱心に見聞きし、非常に有意義な授業となった。実験のアシスタントをするボランティアに多くの中高生が手を挙げ、質疑応答の時間には スペースデブリに関する鋭い質問が飛び出すなど宇宙に深い関心を持つ学生もおり、参加者と講演者との距離が近い、レクチャーシアターの特徴を生かした いきいきとした授業となった。授業終了後も、学生達が列をなし、30分以上に渡って講演者に質問をしたり、顕微鏡を操作したりしていた。 普段触れることのない実験機器に直接触れたり、トップレベルの研究者の最先端の授業を聞いたりしたことで、 中高生にとっては将来の夢や憧れを持つきっかけとなった。初回であることからアンケートを実施し、この授業の感想を聞いたところ、とてもわかりやすく新鮮であったが70%、分かりやすかったが25%と,両方合わせて95%の参加者が好印象であった。また、参加者も中高生が半数以上を占めたが、小学生も2割を占めた。小学生が理解するには少し高度の内容を含むにもかからず、多くの小学生が参加したことは、すでに小学生の頃から科学に対して強い興味を抱いていることがわかった。